47都道府県の柱プロジェクト~広島県~
有限会社 一場木工所(広島県)
この「47都道府県の柱プロジェクト」シリーズでは、岐阜県の養老町・輪之内町にある「森のわくわくの庭」内で柱材としてして活用されている各県の木や、その柱材の提供者である事業体について紹介しています。
〈広島県の森林・木〉
広島県は山地の海抜が低く、地形的に平坦であるため、昔から人々が山の奥地まで入り込み、森林を利用してきました。
土地の条件として降水量が少ないことと、崩れやすい花崗岩地帯であるため、二次林※として発達したアカマツ林が広がります。
一時は県内森林植生の約7割に達していたようですが、マツノザイセンチュウ※による松枯れ被害のためアカマツは減少傾向にあるようです。
また、ヒノキの素材(丸太)生産量が全国10位、広葉樹は全国3位と比較的に林業は盛んでもあります。
※「二次林」その土地本来の自然植生が、災害や人為によって破壊され、その置き換え群落として発達している森林のこと。(「森林・林業・木材辞典より」)
※「マツノザイセンチュウ」樹木の材部に生息する材線虫の1種。全国的に発生している松枯れは、この線虫が樹体に侵入して起こる。(「森林・林業・材木辞典」より)
木を“正しく”伝えていきたい
右上の写真は広島のヒノキでできたウッドラグ「もりのらぐ」
2畳のフレームの中に板をはめ込むだけなので、女性でも簡単に組み立てることができます。
詳細は下記までお問い合わせください。
内外装材などの政策・販売・請負をメインに行う「有限会社一場木工所」
すべて広島県産材でできた日本酒入りギフトボックス「ヒノハコ」などの新商品を開発したり、端材の販売や木工体験などを行う「いちば端材市」を開いたりと様々な取り組みを展開中です。
一般の方でも気軽に木材を買ってもらいたいと、開かれた木工所として木に関することなら何でも相談に乗ってくれます。
2016年には「広島県産ヒノキの木材圧密処理による視覚・嗅覚の保持と商品化研究」においてウッドデザイン賞を受賞。
もともと県の技術だったものを木材本来の色や香りが残るようにと独自の工夫を凝らした成果が評価されました。
工業製品に近い利便性や耐久性を兼ね備えながらも、いかに自然らしさを残すか。
天然素材の良さを最大限に引き出す試行錯誤を日頃から意識して取り組んでいるからこその結果です。
これらを手掛けているのは代表取締役社長の寺河未帆さん。
木を無駄なく使い切り、長く大切に使ってもらうためにも。確かな知識を持って活用法を提案できることが必須だと考えます。
木材コーディネーターの講習や国家資格である技術士(森林分野)の取得に向けて勉強するなど専門性の追求に余念がありません。
森と人をつなぐ架け橋となれるよう、日々奔走しています。
上記の広島県の木は森のわくわくの庭にて柱材として活用しています。
その風合いをぜひ間近で体感してみてください!
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有限会社 一場木工所
広島県三次市上志和地町195-1
TEL 0824-68-2318
参考文献等)
広島県の植生の概要 – 広島大学デジタル自然史博物館 植物
林野庁(2017)「平成28年度森林・林業白書」