47都道府県の柱プロジェクト~富山県~

 岸田木材株式会社(富山県)

この「47都道府県の柱プロジェクト」シリーズでは岐阜県の養老町・輪之内町にある「森のわくわくの庭」で柱材として活用されている各県の木や、柱材の提供者である事業体について紹介しています。

<富山県の森林・木>

富山県の森林を語る上で欠かせないのが“水”です。

豊富な水資源に恵まれた富山県は、水力発電による発電量、耕地面積に占める水田率ともに全国第1位。

一方で、立山連峰を縫って流れる黒部川などの大河川は、山岳地帯から海までの距離が比較的短いため急流で、古くから水害に悩まされてきました。

いかに被害を抑え、豊かな水を上手く利用できるか。

江戸時代など治水技術があまり発達していなかったころは、森林を守って土砂の流失を防ぎ、自然の洪水調節能力により田畑を保全するのが最良の方策でした。

これが、現在の森林面積に占める保安林率(69%)全国第1位につながっていると考えられます。

 

※ 「保安林」:水源のかん養、土砂の流失その他災害の防備、レクリエーションの場の提供など特定の公共目的を達成するため、森林法に基いて一定の制限(立木竹の伐採、土地の形質の変更などの制限、植栽の義務)が課せられている特定の森林をいう。(「森林・林業・木材辞典」より)

 

また、富山県の人工林のほとんどはスギです。その歴史は江戸時代までさかのぼります。北前船※が昆布を積み、日本海を盛んに行き来していたころのこと。ときの加賀藩主は、その船をつくるための木材を確保しようと、氷見の山々を直轄地にして、そこへスギを植えました。氷見で育つスギは柔らかさと粘りがあり、それが造船には最適とされ、長く氷見のスギが使われてきました。現在、氷見の里山には50~60年前に植えられたスギがたくさんあります。これらを「ひみ里山杉」と名付けた「ひみ里山杉活用協議会」では、伐採体験やものづくり体験などスギにふれられる機会を広げています。

 

※ 「北前船(きたまえぶね)」:江戸初期から中期にかけて、北陸地方を中心に日本海海運の主力となって活躍した船。(「日本国語大辞典」より)

 

 木材を通じてあらゆる産業を支える

明治16年 (1883年)に土木建築自社請負として創業した「岸田木材株式会社」。

現在は土木用・建築用木材などを製造・販売しています。

かつては輸入材を多く仕入れていましたが、ロシアの丸太輸出税が大幅に引き上げられた影響などから、地元・富山県産スギの商品化を進めてきました。

また、木材をつくるだけではなく、森林パートナー事業部を立ち上げることで森林整備にも力を入れています。

富山県氷見市との共同で森を整備し、下草刈り、植樹、きのこ植菌、苗づくり、伐採見学などを開催し、多くの人に楽しみながら森とふれあう場を提供しています。

 

木はいつの時代にも人々に愛され求められてきました。

住宅・建築資材、社会資本を支える土木資材として、さらには紙や医薬品などの生活関連商品にも幅広く利用されてきました。

木材はこれからもあらゆる産業を支えていきます。50年、100年かけて育った木を100%利用する。

貴重な資源を社会のために役立てていく。岸田木材は今後も人と地球の懸け橋として活動し続けます。

上記の富山県の木は森のわくわくの庭にて柱材として活用しています。

その風合いをぜひ間近で体感してみてください!

=====================

岸田木材株式会社

富山県氷見市十二町万尾前247-1

TEL 0766-91-0093

HP http://kishidamokuzai.co.jp/

 

参考文献等)

富山県農林水産部(2016)「平成26年度 富山県森林・林業統計書」

水の王国とやま

http://www.pref.toyama.jp/branches/1133/derukui/vol1/22.html

ひみ里山杉活用協議会

http://himisatoyamasugi.strikingly.com/